デジタルまいど No.1~N0.48
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(2)digitalまいど第3号2000年の情報通信インフラの主役は、やはりインターネットである。インターネットはここ3年間、誰もが予想できないような大きな変化を遂げた。しかし、そうした“革命”の時期は過ぎたようだ。インターネットは「今後の展開が予想可能なメディア」になりつつある。少なくとも2000年のインターネットの輪郭は、現在の動向からとらえることは出来る。ユーザー数は3000万人にも日本のインターネットのユーザー数は現在、700万以上にものぼり、そのうちwwwにアクセス可能のユーザーは350万人である。今後インターネット・ユーザーが毎年5割程度増加すると見られるため、2000年のインターネット・ユーザー数は2000万人を越える。パソコン以外の携帯情報端末やインターネット・テレビなどの普及状況によっては、さらに1000万人が上乗せされる可能性もあり、インターネット・ユーザーは3000万人に達する可能性もあるといわれている。(図1)モバイル機器(情報端末)などアクセス環境が高速化インターネットへのアクセス環境については、2000年には急速に多様化する。特にモバイル環境の高速化が劇的に進むだろう。2000年までに移動通信各社では、新しい移動体通信サービスを開始するからである。それにより、2000年には現在のISDNの通信速度である64kビット/秒と同レベルで、携帯情報端末からインターネットへのアクセスが可能となる。また、現在のISDNサービスのINS64は急速に普及することは間違いがなく、こちらもインターネットへのアクセスは64kビット/秒が当たり前になる。サービスの囲い込みが進むインターネットを利用するためには、必ずISP(インターネット・サービス・プロバイダー)との契約が必要である。インターネットの第1次ブームも終わった2000年には、ISPも従来のインターネット接続をサービスするだけではなく、他社とサービスの差別化を行わないと淘汰される運命にある。そのために、現存のユーザーが他のISPに変更しない囲い込みを行う必要がある。企業ユーザーにはデータを大量・安全に転送できる技術を開発し、イントラネット・インターネットを利用しての社内間電話・テレビ会議などを可能にするサービスを提供。個人ユーザーには例えばISP自身で独自のゲームサイト、オンライン型ユーザーサポート、検索エンジン、プッシュ型コンテンツなどの独自のサービスを提供しているだろう。(図2)EC(電子商取引)環境が整うEC(電子商取引)および電子決済関連のインフラ・サービスも、2000年には整っているだろう。プリペイド型の電子決済はすでに始まっており、実験中のインターネット上で利用できる電子マネーも、現在の進捗状況からすると2000年には実用化されるだろう。インターネットでの一般消費者向けのECの市場規模を推定すると、96年度は83億円であるから2000年には480億円以上になると予想され、約500億円市場となる。■インターネット■デジタル放送2000年になるとテレビ放送は、現在のアナログ・データでの発信から本格的にデジタル・データ発信に換り、1つの放送帯域で複数の映像、音声、テキストなどのコンテンツを自由に組み合わせて提供することが可能となり、従来のチャンネルという概念がなくなるだろう。2000年がデジタルへの転換点BS(放送衛星)のデジタル放送が始まり、地上波でも一部地域でデジタル放送が開始される2000年は、放送メディアにとっては新たな幕開けになる。CS(通信衛星)は2000年にはすべてデジタル放送に換っており、BSと地上波はアナログとデジタルの併存時代が続くが、順次完全にデジタル放送に移行してゆくだろう。デジタル放送とは?デジタル放送のメリットは、すべての情報をデジタル・データとして取り扱うことが可能であり、現行のアナログ放送のように、映像に使用しているチャンネルは映像のみに使用するのではなくなるということだ。時間帯によっては同じチャンネルでも映像と関連のテキスト、複数の関連ある映像を同一チャンネルに同じ時間に放送する事が可能となる。例えばプロ野球中継の場合、放送する側は同時に複数のカメラで撮影し、色々なカメラをスイッチングを行って送信しているが、デジタル放送になれば視聴者側で自分が見たいカメラを選択し楽しむことが可能となる。これにより、通常プロ野球放送でメインとなっているピッチャー側からのショットだけではなく、自宅であたかも自分が内野席に座ってプロ野球を見ているような自分なりの中継を楽しむことができる。(図3)テレビをパソコンが融合する!?従来は「テレビ放送を受信するものはテレビ」という常識が通用したが、2000年になるとテレビとパソコンが放送の新しいプラットフォームをめぐり熾烈な争いを演じているだろう。パソコンはより簡単なインターフェースでの操作が可能となり、デジタル放送の受信機能も盛り込んでいるだろう。一方、テレビはインターネット機能、データ放送受信機能を盛り込んでいるだろう。しかし、テレビとパソコンは1つの形になることはない。テレビは限りなくパッシブ(受動的)な端末として生き続け、パソコンは限りなくアクティブ(能動的)な端末として役割を果たす。機能面でも、テレビは大画面・高画質を前提としてパソコンの標準表示であるVGAフォーマットに対応し、パソコンはデータと映像をミックスするといったパーソナル・メディアを志向する方向に向うだろう。すなわち、広くユーザーが求める要求に応えるようにしなければならないからだ。(図4)図1 2000年にインターネットユーザーは3000万人になる図2 2000年のISP(インターネット・サービス・プロバイダー)のサービス図3 デジタル放送のイメージ画面図4 パソコンとテレビは融合しない

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