デジタルまいど No.79
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デジタルまいどNo.79発行日:2016年8月25日digitalまいど編集室発行者:大阪市西成区南津守7-15-16TEL:06-6652-8000(代) FAX:06-6652-8894http://www.ksinet.co.jp/下記ホームページにてデジタルブックでもご覧いただけますアメリカに「UBER(ウーバー)」という会社がありました。UBERはタクシーの配車アプリを開発し運営しています。しかしそのアプリは、既存のタクシーだけではなく、一般人も空き時間を利用して自家用車で人を運び対価を得られるというシステムになっています。このため、タクシー運転手らの反対運動や、タクシー会社の倒産などが起こり、これらの現象を称して、「ウーバー症候群」、「ウーバライゼーション」と呼ばれるようになりました。UBERの登場によりタクシー業界が大打撃を受けたように、ビジネスモデルの異なるデジタル企業の参入によって既存の業界が脅かされる状況を指します。これは決してタクシー業界に限ったことではなく、例えば最近話題に挙がることも多い民家を利用する宿泊サービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」などもウーバライゼーションを巻き起こすサービスと言えます。他にも、使っていない時に家の駐車場を貸し出すサービスや、会議室やイベント会場を共有するサービスなども国内外で既に始まっています。このように、サービス・製品・設備などを共有(シェアー)し、利用者が必要な時に利用してもらうビジネスモデルは「シェアリング・エコノミー」とも呼ばれています。ウーバライゼーション(Uberization)という言葉、皆さん聞いたことがあるでしょうか?近年アメリカで産まれた言葉で、とある会社から始まった「既存業界のビジネスを壊すビジネスモデル」を指して使われます。こういったシェアリング・エコノミーのサービスが増えれば、自分で購入して保有するモノは減り、必要な時にだけ借りて使うという行動が当たり前になるかもしれません。以前から、ビデオレンタルやレンタカーなど、モノを借りて返すビジネスは存在していました。しかしそれらには、十分な設備や在庫を抱えていなければならないリスクもあり、事業が拡大すればするほど従業員は増え、維持コストも大きくなっていきます。ところが、シェアリング・エコノミーによって、個人対個人のやり取りがメインになれば、事業者が資本を持たずともビジネスに参入できるようになり、さらに競争の輪が広がっていくかもしれません。個人にとっても、合間を利用した自由な稼ぎ方・働き方ができ、アメリカでは「ギグ・エコノミー(Gig economy)」と呼んで注目されています。ウーバライゼーションはすべての企業にとって脅威となる存在であり、また商機となる存在でもあります。自社で使っている設備・機器は本当に所有しなければいけない物なのか。外部のサービスを利用した方がコストや効率が良いのではないだろうか...。そういった観点からモノを見た時、逆に他社や消費者に提供できるようなモノがいくつか見つかり、事業の拡大に繋がるかもしれません。脅威になるかチャンスになるか、『パラダイム・シフト(ある時代の支配的概念が転じること)』は近いのかもしれません。(元稲・高橋)そもそもの始まりウーバライゼーションの意味とはシェアリング・エコノミーの可能性ウーバライゼーションとどう向かい合うか– 1 –

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