デジタルまいど 60号
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問題問題– 3 –ます。必勝パターンになる3つの山の石の並べ方は、(1,2,3)、(1,4,5)、(2,4,6)、(2,5,7)、(3,4,7)、(3,5,6)のいずれかの1つの山だけに1,2,4…個の石を加えた場合になります。つまり、自分が石を取った後に、これらのパターンになるようにすれば必勝です。石を少しずつ増やしていって自分で考えてみましょう。では、応用問題として、もう1問出題してみましょう…3つの山の石が、(17, 15, 8)の場合はどうでしょうか?17→[16+1]、15→[8+4+2+1]、8→[8]と分解できますね。数字を眺めると、16と4、2は1つずつ、8と1は2つずつです。奇数個の16、4、2を一度に取り除きたいところですが、2つの山から石を取ることはできないので、16→[10と4+2]と分解して考えると、4、2も2つずつと見なせます。つまり、17個の山から10個の石をとれば、必勝となります。10個の石を取って、(7, 15, 8)の山にすると、7→[4+2+1]、15→[8+4+2+1]、8→[8]となり、8、4、2、1すべてが偶数個になるので、必勝パターンに持ち込めたことになります。それでは、解説です。まず、3つの山の石の数をそれぞれ2進数で表します。2つめの例題の(17, 15 ,8)を2進数で表すと、17=10000(2進数)15=1111(2進数)8=1000(2進数)となります。そして、それぞれの桁の1の個数が偶数になるようにします。数学的に言うと、3つのそれぞれの桁ごとの2進数の排他的論理和が0になるようにすればよい、ということです。2つの値の排他的論理和とは、入力値が同じ時に0、異なるときに1となる演算のことです。ここでは、17の2進数である10000から、10の2進数である1000を引けば、111となるので、次のように、それぞれの桁の排他的論理和、つまり各桁の1の個数は偶数個になります。111(2進数)=71111(2進数)=151000(2進数)=8これで必勝パターンとなるわけです。このように、2進数に分解すると解説がしやすいのですが、実際に暗算で行うのは難しいので、冒頭で説明した方法で考えるのが簡単だと思います。では、最後に、なぜこういう計算で勝てるのかという証明ですが、勝ちパターンに持ち込まれた後は、相手は必ず勝てないパターンの石の取り方しかできない、ということは、上記の排他的論理和から証明ができるのですが、そもそも排他的論理和が0になればなぜ必ず勝てるのか、という証明は簡単ではありません。1つずつパターンを分けて説明するしかなく、それが故に、不思議な古典的数学ゲームとして、今でも楽しまれているのでしょう。(高橋)古典的なゲームで、「三山崩し」というのをご存じでしょうか?多くのバリエーションがあるのですが、いずれも数学的に考察して必勝パターンがある石取りゲームです。最もポピュラーな三山崩しをご紹介しましょう。碁石でも、コインでも、マッチ棒でもいいので、何個かずつ、3つの山に分けます。(各山のそれぞれの個数や、総数には制限はありません)ルールは次の通りです。◦先手と後手を決め、2人で交互に石を取っていきます。◦1つの山からなら何個でも取ることができますが、最低1個は取らなければなりません。◦複数の山にある石をまたがって取ることはできません。◦最後の1個を取った方が「勝ち」になります。(最後の1個を取った方が負けというルールもあります)2人の人がこの3つの山のどれか1つから、好きな数だけ石を取っていくのですが、さて、ここで問題です。図のように、5個、7個、3個の3つの山の場合はどうすれば勝てるのでしょうか?説明は後回しにして、せっかちな人のために、簡単な必勝法を教えましょう。3つの山の石を[32、16、8、4、2、1]に、大きい数から優先して分解します。図では、5→[4+1]、7→[4+2+1]、3→[2+1]となります。この分解した数字、[4・1]、[4・2・1]、[2・1]を見て、同じ数字が偶数個となるように、石を取っていけばよいのです。(あなたが石を取った後に、同じ数字が偶数個になればよいのです。)この場合は、4は2つ、2は2つ、1は3つなので、3つのどれかの山から1つだけ石をとれば、必勝です。右図のように、それぞれの山の石を[4、2、1]ずつに分けて眺めてみるとわかりやすいと思います。(でも、それとなくやらないと気づかれてしまうかもしれません)例えば、必勝パターンであなたが5個の山から1個取った後、相手がもし3個の山から2個取った場合は、右の図のようになります。その場合、4が2つ、2が1つ、1が2つになるので、今度は7個の山から2個取ればOKです。このようにしていけば、必ず勝つことができます。でも、もうおわかりのように、はじめの3つの山の石の数によっては、必勝パターンでない場合もあります。先手必勝のパターンでやりたい場合、並べる石の数をよく考えておく必要があり三山崩しの数理なつかしのゲームみ  やま くず

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