今さらではありますが、IoT(Internet of Things)モノのインターネットって?
最近、様々なセミナー等のタイトルでも頻繁に目にするようになったIoTやインダストリー4.0ですが、さてそもそもこれってどういうモノで、どこまで進んでいるのでしょうか?疑問を解消すべく先日からセミナー数本に参加してきました。
まず、IoTの定義は「パソコンやスマートフォン、タブレットといった従来型のICT端末だけでなく、様々なモノがセンサーと無線通信を介してインターネットの一部を構成するという意味(情報通信白書 平成27年度版:総務省)」です。ま、ここまでは何となく知ってましたが、さて、実際のところはというと・・・。
IoTの事例で有名なのは某建設機械大手メーカーの事例らしいです。同社の建設機械には、車両の状態や稼動状況をチェックするセンサーやGPS装置がすでに標準で取り付けられており、世界中で稼動している車両のデータがすべて本社サーバーに自動的に送信され、集積できるようになっているらしいです。この情報により故障原因推定や迅速な修理、GPSでの盗難防止(遠隔エンジンストップ)、さらに顧客側への運用コスト削減提案なども実現しているとか。知らないところでそこまで進んでいたんですね・・。
で、この会社の凄いところは、このシステムを標準装備した際(2001年)に、販売価格に転嫁しなかったことです。製造原価はあがるが、当時はこのシステムが理解される環境ではなかった。が、「この情報は今後絶対に大きな価値になる」と当時の社長が赤字覚悟で自社負担で断行。まさに英断ですね。
そして、現在はこのシステムによりユーザーひとりひとりへのきめ細やかなフォローを実現し業績もアップ、マーケティングの面でも全世界での精度の高い販売・生産計画を作成することが出来、総合的に高い売上高営業利益率を実現しているとの事です。
この事例で判るように、モノがインターネットに繋がることで、個別のデータを集めることができ、顧客固有のニーズを理解し、個別のケアや提案アプローチができるようになります。そして集積したデータはマーケティング分析され、今後のビジネス展開に活かすことが可能。このデータ分析においては、ディープラーニング(深層学習)等により現在飛躍的に進化しているAIが活躍していくんでしょうね。
このシステムが発達することで、さらに数多くの新しいビジネスが産まれてくるのは確実です。まさにウーバライゼーションを越える革命が起きる予感がします。
このIoT・ビッグデータ・AI等のICT投資などが進展すれば、我が国経済成長は加速し、2020年度時点で実質GDP約33.1兆円の押し上げ効果が見込まれる(情報通信白書)と言われていますし、どうやらとっても大事になっているようです。
ドイツでもインダストリー4.0と銘打った戦略を打ち出し、製造業におけるICT利活用の徹底(CPS:サイバー・フィジカル・システム)による「生産の効率化」と「サプライ・チェーンの最適化」を通じた国際競争力強化のための取り組みを進めているようです。ここでもモノがインターネットに繋がることで経済成長がなされ、様々な変革が起きることを目指しています。(ちなみに蒸気機関→1.0、電力化→2.0、自動化→3.0、CPS化→4.0ということらしいです。)
すべての機械・設備にネットワークが繋がり、モニタリングされ、データ集積され、そのビッグデータによる恩恵を受ける。そんな世の中は大手の取り組みによってもうすでに一部身近に来ています。そして今後ますます進み、IoTが当たり前の世の中になってくるのでしょうね。その波に乗り遅れないように、今から動かないといけないです。ほんと・・・。
さて、文中にちらっと出てきたウーバライゼーションですが、その詳細についてはデジタルまいど最新号で特集しています。こちらもぜひご覧下さい。